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製造販売のスキームと独禁法
 3回目は私,弁護士の折田啓です。製造販売のスキームを組む際の注意点についてお話しいたします。
  ある技術を開発してそれを利用した製品もほぼ完成し,実際に製造販売する段になって,どのようなスキームを選択するか,そのメリット・デメリットをきちんと把握しておくことが大切かと思います。
 自社は特許とノウハウのみ保有して,製造販売は他社にやってもらい,後はライセンス料のみを稼ぐだけという方法は,製造販売にかかる設備投資のリスクを負いませんが,必ずしもライセンス管理が容易ではありません。ライセンシーが勝手なことをしないか,常に目を光らせる必要があります。
 自社で販売を行うとしても,製造方法について,自社製造か,製造委託かの選択肢があります。製造委託はやはり設備投資のリスクを負いませんが,委託先が製造ノウハウを他に使わないか,勝手に製品を作って販売していないかなど,やはり委託先管理が欠かせません。また,製品は委託先から全部買い取って自社で販売する訳ですから,品質管理や安全性管理も欠かせません。
 販売方法に関しても,できる限り在庫のリスクは負いたくないとなれば,販売店に製品を売切りの形にすれば在庫リスクは販売店が負うこととなりますが,その場合に販売店は自己の判断で営業活動を行うことになりますので,販売ラインの末端までコントロールを及ぼすことが困難になります。
 上記のメリットだけ享受して,デメリットについては契約条項を工夫することによって何とかクリアできないかと考え勝ちですが,独占禁止法の不公正な取引方法に該当しないように,又は下請法に抵触しないように契約条項を定める必要がありますので,あれもこれもというようにはいきません。ということで,まずは専門家にご相談を。
by trigla | 2005-07-24 21:06 | 日々の雑記
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